【連載 Ⅰ 】”企画”するということ#003

【連載】「企画する」ということ #003

「企てる醍醐味」 Vol.1 「企てる」って何?

 

三行で言うと?

  ①「企画」とは、目的達成のために、あの手この手を考えて実行の手順を整えること。
  ②「なにをやるべきか」を決めることが、企画では一番大切。これが「課題の設定」。
  ③人は、自分が思うようには動いてくれない。だからこそ「企画」は面白い。

 

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皆さん、おはようございます。プランニングディレクターのK一郎です!
芸能界では、どんな時間帯の挨拶も「おはようございます」だそうですね。

A子さんは「ターゲットを理解する」で連載を始めましたが、わたくしK一郎は「企てる醍醐味」をテーマに、その考え方や楽しさについてご紹介させていただきます。

企画と聞いて、なんだかワクワクしたり、ちょっとした悪戯ゴコロが芽生えたりしませんか?

もし、そうだとしたら、みなさんには「企画」の素養があるはずです。
たくさんの芸能人が出演するバラエティ番組のような大掛かりなものに限らず、
意中の方へのサプライズプレゼントや、家族のクリスマスパーティーのような、みなさんの毎日の生活に「企画」は溢れています。

 

 


「企画」とは、目的達成のために、あの手この手を考えて実行の手順を整えること。

では、そもそも「企画」とは何でしょうか。

 

辞書をひくと、
「実現すべき物事の内容を考え、その実現に向けての計画を立てること。立案すること。また、その計画や案。」とあります。

どうでしょう、あまりピンときませんね。

こういうときは、「企画ではないもの」との対比で考えてみると定義しやすいかもしれません。

 

類義語に「計画」があります。

 

「計画」は行うべき物事の内容がおおむね決まっていて、その実現の方法・手順などを前もって考える意。
対して「企画」は目新しく好ましい物事の内容を具体的に考え、その実現に向けて手はずを整える意とあります。

要するに、理想の状態にするために、あの手この手を考えて実現のための算段を整えるということですね。

サプライズプレゼントは、意中の相手を振り向かせることが理想の状態でしょうし、家族のクリスマスは薄れていた家族の絆を強めることかもしれません。

 

ふと考えてみれば、世の中は、理想の状態でないことだらけです。

みなさんが従事されている医療やヘルスケアの領域も同様で、
日々理想と現実とのギャップに頭を悩ませているのではないでしょうか。

 

 


「なにをやるべきか」を決めることが、企画では一番大切。これが「課題の設定」。

「適切な課題設定ができれば、問題の8割は解決したようなものだ。」とはよく聞くことですが、
私自身、昼夜、企画を考える折、多様な視点で示唆に富む言葉だと実感します。

 

マーケティングやコミュニケーション活動にて、
ターゲットとする生活者に、企業が望む理想の行動をしてもらうために、その「企画」をしているわけですが、
やはり理想と現実の間にはギャップがあります。
(解決しがたいギャップがあり解消したいから仕事として依頼があるのですが)

 

そう簡単に、理想の行動をとってもらえません。
例えば食品メーカー。頑張って作った商品を買ってもらったり、お店に来てもらったり、サービスを体験してもらうことは、とても難しいです。

 

理想の行動をとってくれない(問題を抱えた状態)を理想の行動に誘うための、
「課題(=問題を解消するために、やるべきこと・遂行すべきこと)を設定すること」が、
実は「企画」の一番の要諦です。

 

具体的な実行施策を考えることも大事ですが、それ以前の「課題設定」が適切にできれば、
問題の8割は解決したようなものだ、というわけです。


PDFファイル(67 KB)


人は、自分が思うようには動いてくれない。だからこそ「企画」は面白い。

「わかっちゃいるけど、やめられない。」

こんな感覚を、自らの体験として、または、医療従事者として解決したい問題として直面したことはありませんか?

わかりやすいのは、タバコをやめたいのにやめられなかったり、ダイエット中なのについ夜遅くにスイーツを食べてしまうことではないでしょうか。最近では「歩きスマホ」もそうかもしれません。

つまり、正しい情報を得ていながら、少なくとも「やらない方が良い」と頭では理解をしていながら、
行動が伴わないわけです(禁断症状のような、抗えない強烈な脳からの指令に対しての対策は別の議論にゆずります)。

人間の「意識」と「行動」の間にある深い溝についてはさまざまな研究成果がありますが、
どうやら簡単に言うと“行動しないクセ”のようなものが、人間の脳には刻み込まれており、

その“行動しないクセ”を断たせるための創意工夫が、この領域における「企画」の主戦場だと思うわけです。

 

こちらについては、次回以降詳しく掘り下げていきたいのですが、とにかく「人は正しい情報を伝えれば行動するというのは思い上がりで、自分が思うほど動かない」前提に立って物事を考える必要がありそうです。

 

既に存在する学術としての「健康行動理論」による解決アプローチだけではなく、他のアプローチについても検討したいと考えている皆さんに、少しでも思考の一助になれば幸いです。

 

 

 

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